毎年10月になるとノーベル賞受賞者が発表になります。そしてアルフレッド・ノーベル(Alfred Nobel、1833~1896年) の命日12月10日には授賞式が行われます。 Kaggleにノーベル賞受賞者に関する1901~2021年のデータがあったのでダウンロードして集計してみました。よく見るとこのデータのもとはノーベル財団のホームページのようです。そこで2022年分をこのホームページから抜粋して元のデータに加えました。このデータは英語版なのでPrize motivation(受賞の動機:功績)やAffiliation at the time of the award(受賞時の所属)はグーグル翻訳で日本語に変換しています。(機械的に一括翻訳しているので怪しげな翻訳もあります)
ノーベル賞
ノーベル賞は、ダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年から始まった世界的な賞です。物理学、化学、生理学・医学、文学、平和および経済学で顕著な功績を残した人物(および団体)に贈られます。ノーベルは17世紀のスウェーデンで天才的な科学者であったオラウス・ルドベックの子孫に当たるそうです。
天才の血筋か彼も優秀な科学者でした。作家・平和主義者としても知られていますが、ダイナマイトをはじめとするさまざまな爆薬の開発・生産によって巨万の富を築き、355件の特許を取得していたのは有名です。
彼の兄が死亡した際、新聞社がアルフレッドが死去したとして『死の商人、死す』との誤報がノーベル基金の発端になっと言われています。
- 遺言に従い物理学、化学、生理学・医学、文学及び平和に貢献された人に授与される(後に経済学が加わる) 従って、数学とか音楽とかに貢献しても対象外。
- 生存している事 (1973年以降) 1901年以前に亡くなったニュートンとかガリレオ・ガリレイは素晴らしくとも授与されない
- 1つの賞に3人まで 受賞すると賞状・メダル(造幣局で作られるらしい)・賞金(およそ1億円) が与えられるが、賞金は当分(3人であれば1/3)される
- 物理学賞 ヴィルヘルム・レントゲン Wilhelm Conrad Röntgen 、ドイツの物理学者(戸籍上はオランダ人)。X線の発見 賞金は「X線は人類が広く利用すべきもの」として全額大学に寄付
- 化学賞 ヤコブス・ヘンリクス・ファント・ホッフ Jacobus H. van 't Hoff オランダの化学者 「ファントホッフの式」の発見(熱力学)
- 生理学・医学賞 エミール・アドルフ・フォン・ベーリング Emil von Behring ドイツの医学者・実業家。ジフテリアに対する血清療法の研究 共同研究者の北里柴三郎あっての結果であると主張
- 平和賞 ジャン=アンリ・デュナン Henry Dunant スイスの実業家。赤十字社を創設
- 平和賞 フレデリック・パシー Frédéric Passy フランスの経済学者・政治家 国際平和同盟・国際調停機関の設立
- 文学賞 シュリ・プリュドム Sully Prudhomme フランスの詩人
アルフレッド・ノーベルの遺言
以下がノーベル財団ホームページにあったノーベルの遺言全文です。太文字のところに物理学、化学、生理学または医学、文学、軍縮・平和の促進に貢献した人に賞を与えると書かれています。また国籍にかかわらず最も価値のある人に賞を授与するとあるのは興味深いです。
この遺言は1895年11月27日に書かれました。現在11月27日は『ノーベル賞制定記念日』となっています。
ノーベル経済学賞
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1969年初めての経済学賞は
- Ragnar Frischラグナル・フリッシュ(ノルウェーの計量経済学者) Econometric(計量経済学)と言う名もフリッシュが付けたらしい
- Jan Tinbergenヤン・ティンバーゲン(オランダの計量経済学者) 兄のニコ・ティンバーゲンも1973年生理学医学賞を受賞している
2022年の受賞者はブルッキングス研究所 (Brookings Institution)のベン・バーナンキ、シカゴ大学のダグラス・ダイヤモンド、ワシントン大学のフィリップ・ディビッグの3人。バーンナンキはFRB(米連邦準備制度理事会)元議長です。実務家として有名ですが、プリンストン大学の経済学部長なども歴任していたようです。
年別 受賞者数と個別詳細
上述のとおり、各賞3人まで受賞可能です。
左下表は各年各賞の受賞人数です。1901年から2022年まで、615の賞を合わせて989名が受賞しています。年によっては該当者なしの賞もあります。1940~1942年は戦争のため全ての賞が該当者なしでした。クリックすると該当年・賞の受賞者明細が下に表示されます。
受賞した国と誕生国
ノーベル財団のデータには「国籍」はありません。遺言に「受賞者はの国籍は問わない」旨の記述があるからかも知れません。国籍のかわりに「生まれた国(誕生国)」と「受賞時に所属していた組織の国(組織国))」があります。
誕生国と組織国を比べると『頭脳の流出具合』が分かるかも知れません。文学賞と平和賞(組織国が不明)を除くと、
誕生国が日本の人は24名で、組織国も日本の人は17名でした(組織国が海外の人は7名)。従って、日本の頭脳流出率は29%( 7÷24 )という事になります。米国は3%でした。研究費の乏しい日本は今後この比率が高まるかも知れません。一方、組織国を軸におくと、米国の場合、受賞人数は最多の375人ですが、33%が誕生国が米国以外(123名:うち7名は誕生国が日本)でした。
受賞時の所属 どの大学etcが多いか
受賞時の所属(大学や研究機関)別の受賞者人数のリストです。左側が文学賞を除く全賞、右側は各部門別です。
受賞者は必ずしも1つの組織に所属していたとは限らないので代表的な組織かも知れません。また、時代により名称が異なる場合(ex 筑波大学:(旧)東京教育大学)、組織内の個別名称が記載されている(ex カリフォルニア大学:カリフォルニア大学医学部)場合があります。
受賞数の多いのは、カリフォルニア大学 36名・ハーバード大学(含医学部)34名・スタンフォード大学(含医学部/Stanford Linear Accelerator Center)26名・マサチューセッツ工科大学(MIT:含医学部/がんセンター)24名・シカゴ大学(含エンリコフェルミ研究所/ベンメイ癌研究所)21名・カリフォルニア工科大学 17名・コロンビア大学(含Cardio-Pulmonary Laboratory)18名・プリンストン大学 17名・ケンブリッジ大学 17名・ロックフェラー大学13名・オックスフォード大学 10名などです。ケンブリッジとオックスフォード(共に英国)以外は全て米国の大学です。
下に日本の組織を表示しています。京都大学・名古屋大学が共に3名の受賞者を輩出しています。島津製作所・旭化成など民間企業も含まれます。
- 物理学賞
- 化学賞
- 生理学医学賞
- 経済学賞
- 平和賞
2回以上受賞した人・日本人受賞者
左表は2回以上受賞したリスト。5人と2組織あります。2022年に化学賞を受賞したバリー・シャープレスは2001年に
日本の野依良治、ウィリアム・ノールズ William Knowlesと化学賞を共同受賞しています。
右表は日本人(誕生国が日本)の受賞者のリストです。※は現在外国籍です。表のなまえをクリックするとWikipediaの解説が別ページで表示されます。
家族で受賞! キュリー家族
中でも有名なのがキュリー夫人の家族。夫婦・親子ともに受賞しています。
受賞時の年齢と生涯年齢(故人)
何歳ぐらいで受賞するか?結構バラツキがあるので
中央値中位数のこと
データを大きい順に並べた時の中央の値。
で見た方が良い気がします。日本人と日本人以外では日本人の方が高め。日本人の場合は大雑把に60~70歳ぐらいでしょうか。部門別・時系列にみたのが下のグラフで、詳しく計算はしていませんが平和賞・経済学賞以外は時系列でやや高齢化(右肩上がり)しているように見えます。
- 物理学賞
- 化学賞
- 生理学医学賞
- 経済学賞
- 文学賞
- 平和賞
最高齢を調べて見るとイタリアのリータ・レーヴィ=モンタルチーニ(女性)は(1909年04月22日~2012年12月30日)で1986年に神経成長因子および上皮細胞成長因子の発見の功績でノーベル生理学・医学賞を受賞しています。受賞時は77歳でした。103歳で死去。
85歳以上と35歳未満の受賞者
最高齢で受賞したのはジョン・グッドイナフJohn Goodenough、受賞時97歳。5名の人が90歳以上で受賞しています。
受賞した年に亡くなった方も2名います。
35歳未満で受賞したのは物理学賞8名、平和賞5名、生理学医学賞が3名の合計16名です。
比較的少ない平和賞(個人:110名)の比率は高いように思います。
女性受賞者
1950年代は女性受賞者はゼロでしたが、徐々に増加し2020年代には2割程度になりました。部門別では文学賞・平和賞で活躍が見られます。
年代別 組織国別受賞者数(除 文学賞・平和賞)
1901年以降の合計では米国が375名、英国が93名です。それぞれ全体の52%・13%を占めます。 表の下に主要国の年代別の比率をグラフ(各賞合計)に表示しました。ノーベル賞はヨーロッパで始まったので 当初はヨーロッパ勢が多いのですが、1930年代以降米国が急速に増えています。1990年代は76%に達していますが、 総じて6割程度を占めています。
- 各賞合計
- 物理学賞
- 化学賞
- 生理学医学賞
- 経済学賞
年代別 誕生国別受賞者数
(必ずしも国籍ではないかも知れませんが)誕生国別の人数です。日本は各賞合計で7番手ですが、化学賞は5番目でした。
- 各賞合計
- 物理学賞
- 化学賞
- 生理学医学賞
- 経済学賞
- 文学賞
- 平和賞
敬称は省略しました。
おしまい